リスクマネジメント

損失の危険の管理に関する規程その他の体制

事業等のリスクを適切に管理するため、包括規程として「リスク管理規程」を制定するとともに、リスクを含む重要な案件については、必要に応じて取締役会および「経営会議」、「常務役員会」、「グループ戦略会議」等の会議体において審議を行います。
また、事故、災害等に対する危機管理に関する事項、法令・企業倫理の遵守に関する事項など特に重要と判断したリスクの管理については、全体のリスク管理体制に加えて、専門の担当者の設置、社内規程やマニュアルの制定など個別の管理体制も整備します。

リスク管理に関する基本方針

内部統制システムの適切な整備・運用を図ることによりリスクの軽減を図り、企業価値向上に努めています。
また、「財務報告に係る内部統制の評価および監査」を義務付けた金融商品取引法に対応し、財務報告に係る内部統制の基本的計画および方針を決定しています。

リスク管理規程

当社およびグループ会社における事業等のリスクを適切に管理するための基本的な事項を定めた「リスク管理規程」を制定しています。このリスク管理規程に基づき、事業等のリスクを確実に把握し、リスクの発生に対する予防およびリスクが発生した場合の損失拡大防止の観点から適切な対策を立案、実施するリスク管理を行います。

リスク管理機関

リスク管理規程では、取締役会、経営会議、常務役員会およびグループ戦略会議などをリスク管理機関と定め、リスク管理を行うこととしています。
事業ごとに洗い出されたリスクを全社的視点に基づき整理・集約し、リスク管理機関で、方向性や諸施策を審議し、リスク案件のうち重要な業務執行については、取締役会で審議し、決定しています。

(2021年6月現在)

近鉄グループ情報セキュリティ基本方針

企業活動におけるITへの依存度が高まるにつれ、情報セキュリティ対策が重要性を増していることから、当社および子会社が近鉄グループとして必要な情報セキュリティ・レベルを維持するため、グループ共通で遵守すべき基本的な事項をまとめた「近鉄グループ情報セキュリティ基本方針」を制定しています。

近鉄グループ情報セキュリティ基本方針

近鉄グループは、保有するすべての情報資産を適切に維持管理するため、情報セキュリティの確保に取り組みます。

1.情報管理
情報セキュリティ対策に関する役割と責任を明確にして管理体制を整備し、保有するすべての情報資産を重要性とリスクに応じて、適切に維持管理します。
2.法令遵守
関連する法令、お客さまとの契約、本方針およびグループ各社が定める規程等を遵守します。
3.技術対策
情報への不正なアクセス、情報の紛失、改ざん、漏えいおよび消失を防止するため、技術的・物理的な観点からセキュリティ対策を講じます。
4.教育啓発
役員、社員、その他従業員に対して情報セキュリティに関する教育訓練を行い、自らの役割と責任を認識させると共に、情報セキュリティ対策の実施に必要な知識の習得と意識の向上を図ります。
5.委託管理
業務を外部に委託する際には、委託先に本方針を周知し、近鉄グループと同等のセキュリティレベルを維持するよう要請していきます。
6.事故対応
万一、情報セキュリティ上の事件または事故が発生した場合、迅速に対応して被害を最小限にとどめると共に、その再発防止に努めます。
7.維持改善
情報セキュリティ対策を運用状況、環境の変化などに応じて見直し、情報セキュリティの維持と継続的改善に努めます。

BCP(事業継続計画)

異例事態に対応できる能力の向上を目指し、BCP(事業継続計画)を策定しています。異例事態発生から、通常業務に復旧するまでに行う業務と復旧までの時間、担当部署を、あらかじめ整理し、迅速な事業復旧を目指すものです。

DBJ BCM格付の最高ランク取得

2021年3月、㈱日本政策投資銀行(DBJ)が実施する、BCM(事業継続マネジメント)格付において、「防災および事業継続への取組みが特に優れている」と、9年連続で最高ランクを取得しました。BCM格付とは日本政策投資銀行が企業の防災・事業継続の取組みを評点化し、優れた企業を選定するものです。

DBJ BCM格付2020当社は、2021年3月日本政策投資銀行(DBJ)よりDBJ BCM格付融資を受け、格付結果は「事業継続に対する取組みが特に優れている」と評価されました。

当社が直面する主なリスク

当社グループは、以下のリスクの発生の可能性を認識した上で、発生の回避および発生した場合の対応に努めています。
なお、文中における将来に関する事項は、2021年6月21日現在(有価証券報告書提出日)において、当社グループが判断したものです。

当社が直面する主なリスク

  1. 1.景気、個人消費動向、国際情勢等の変動
  2. 2.感染症の拡大
  3. 3.沿線人口の減少およびモータリゼーションの進展、他社との競合
  4. 4.大規模災害または大規模事故の発生
  5. 5.気候変動
  6. 6.人手不足、賃金高騰
  7. 7.法令による規制
  8. 8.商品の品質ならびに食品の安全性および表示に対する信用毀損
  9. 9.地価の下落等
  10. 10.原油等の資源価格の高騰
  11. 11.調達金利の変動
  12. 12.株式相場の変動
  13. 13.デジタル情報技術の進化による生活様式の変化
  14. 14.情報の漏洩等
  15. 15.企業買収等

1.景気、個人消費動向、国際情勢等の変動

当社グループの中核をなす運輸業、流通業およびホテル・レジャー業は、いずれも主に一般消費者を顧客としており、景気、個人消費動向等の経済情勢のほか、冷夏、暖冬などの異常気象や天候不順等の影響により、業績が悪化するおそれがあります。また、これらの事業は、通商問題やテロリズム・戦争等による国際情勢の悪化により訪日外国人が減少し、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、構造改革の実施による損益分岐点の引き下げに加え、人の移動に依存しない事業やB2B事業の育成・強化による事業ポートフォリオのリスク耐性強化等を通じて、これらの影響を最小化するよう努めていきます。また、特定の国からのインバウンドに偏らない事業展開のために、幅広い国への営業活動や国内需要のさらなる掘り起こしを図っていきます。

2.感染症の拡大

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う経済活動の規制、移動需要や観光需要の激減などにより、当社グループは甚大な影響を受けています。また、従業員が集団感染すると、業務の遂行が困難となるおそれがあります。アフターコロナ社会においても、感染症がもたらした社会構造や行動様式の変化による影響は、通勤・出張需要の減少、オンラインビジネスの拡大など恒常的なものになるおそれがあります。
当社グループでは、感染予防と感染拡大の防止に最優先で取り組むとともに、社会・経済環境の変化に応じた各事業の構造改革に努めていきます。

3.沿線人口の減少およびモータリゼーションの進展、他社との競合

少子高齢化および都心への人口移転により、近鉄沿線での人口、特に就労人口および通学人口が減少しており、今後も減少傾向が続くと予想されます。また、近鉄線と競合する高速道路網の整備等によりモータリゼーションが一層進展しているほか、一部路線では鉄道他社と競合関係にあります。これらの状況は、鉄軌道業収入、流通業収入や不動産業収入等の減少をもたらすおそれがあります。また、沿線の観光地は、他の観光地と競合関係にあるため、観光客が減少し、鉄道事業のほかホテル・レジャー業の収入が影響を受ける可能性があります。さらに、大阪・奈良・三重地区等で競合する他の百貨店や異業態の新店舗開業・改装により、流通業の収入が影響を受ける可能性があります。
当社グループとしては、豊富な沿線観光資源の活用やお客様・地域社会のニーズに対応した商品・サービスの拡充に努めるほか、競争力のあるエリアでの不動産業等の展開、テクノロジーを活用した新たなビジネスモデルや効率的な運営体制の構築などの諸施策を積極的に進め、グループ各社の連携によりグループ事業全体の基盤強化を図っていきます。

4.大規模災害または大規模事故の発生

南海トラフ地震等とそれらに伴う津波や、主要ターミナル等における火災、テロなどが発生した場合、長大橋梁・鉄道トンネル・線路等鉄道施設の毀損、特急券オンライン発券システムのトラブルなどのほか、ホテルや百貨店、賃貸施設、レジャー施設等についても大きな被害が生じるおそれがあり、当社グループにおいて大規模な損害および復旧費用が発生する可能性があります。また、当社グループの経営資源が大阪府、奈良県、三重県をはじめ、近鉄沿線に集中していることから、特に南海トラフ地震が発生した際は、グループ全体の業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。
また、万一大規模事故が発生した場合、その復旧と損害賠償に巨額の費用が必要となり、業績に深刻な影響を与えるおそれがあります。鉄道事業においては、遮断中の踏切への進入など外的要因により事故が発生し、列車の運行に支障が出るおそれもあります。
当社グループでは、公共交通機関として多数のお客様の輸送に当たる鉄軌道事業やバス事業をはじめ、その他の各事業においてもお客様の安全の確保を第一義に考えています。このため、従業員の教育・訓練はもちろんのこと、鉄軌道事業における運転保安設備の新設、更新、増強など計画的な投資の継続をはじめ、各事業とも耐震補強など防災対策工事を推進するとともに、各種の安全対策には万全を期しています。また、大規模地震に対する事業継続計画の定期的な見直し等、大規模な災害・事故等の発生に備えた危機管理体制の整備を一層推し進めています。

5.気候変動

気候変動により、急性リスクとして、大型台風、豪雨に伴う風水害や土砂災害により列車が運行不能になるおそれがあります。また、旅行やホテルのキャンセルや、買物・レジャーの出控えが発生します。慢性リスクとしては、猛暑等により空調などの電力使用量やエネルギーコストが増加するおそれがあります。さらに、法律等の規制強化や、旅行や日常生活における消費者行動の変化により、大規模な設備投資や事業構造の見直しを迫られるおそれがあります。
当社グループとしては、TCFDの枠組みに沿って気候関連のガバナンス強化や戦略策定および情報開示等を進めています。また、激甚化する災害に備え鉄道の防災・安全対策を推進するとともに、2050年カーボンニュートラルに向けてのCO削減目標の策定、省エネルギー、省資源等の取組みを通じ、地球温暖化防止をはじめとする気候変動への対応に努めています。

6.人手不足、賃金高騰

当社グループにおいては、鉄軌道事業をはじめとする多くの事業が労働集約型であり、人材の安定的な確保が不可欠です。しかしながら、少子高齢化により生産年齢人口の減少が続いており、今後十分な人材が確保できない場合、事業運営に影響を及ぼす可能性があります。また、採用競争の激化等により賃金は上昇傾向にあり、今後さらに賃金が上昇した場合、収支に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループとしては、採用区分や採用エリアの拡大により、引き続き人材の確保に努めるとともに、業務の合理化・システム化等により、効率的な運営体制の構築にも取り組んでいきます。

7.法令による規制

鉄道事業法(昭和61年法律第92号)の定めにより旅客運賃の設定・変更は国土交通大臣の認可を受けなければならず、鉄道事業における運賃の設定・変更を制限される可能性があります。また、当社グループの事業活動においては各種法令の規制を受けており、法令改正の内容によっては、業績に影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、法令に関する情報を収集することで、当社グループの業績への影響を最小限とするよう努めています。

8.商品の品質ならびに食品の安全性および表示に対する信用毀損

主として一般消費者を顧客としている流通業およびホテル・レジャー業において、当社グループが販売する商品の品質や食品の安全性・表示について信用毀損が生じた場合、お客様の減少による減収や損害賠償、争訟費用等のコスト発生により業績が悪化するおそれがあります。
当社グループでは、関係法令の遵守状況の確認や品質・衛生管理・食品表示のチェック、従業員に対する定期的な研修などを実施し、商品の品質・食品の安全性の確保、適切な食品表示に努めています。

9.地価の下落等

不動産市況の低迷や地価の下落に伴う販売用土地およびマンションの販売不振、不動産賃料収入の減少、販売土地建物および固定資産についての評価損失の計上などにより、業績が悪化するおそれがあります。
当社グループとしては、地価変動の影響を極力避けるため保有資産の入替え、競争力のあるエリアでの事業展開を進め、付加価値の高い新規物件の開発を促進するとともに、低利用地の更なる有効利用によって、不動産業の業績向上に努めています。

10.原油等の資源価格の高騰

原油等の資源価格の上昇は、当社グループの鉄道事業、バス事業、タクシー事業、物流業などに大きな影響を与えます。また、不動産業におけるマンション建築工事費やホテル業、飲食店業におけるエネルギーコストの上昇は、利益減の要因となります。
当社グループとしては、各事業において原価の抑制に努めているほか、各社およびグループ共同で資源の供給会社に対する価格交渉を随時行っています。

11.調達金利の変動

景気の急激な変動や金融市場の混乱等により、今後市場金利が上昇または乱高下した場合や、信用格付業者による格付の下方修正が行われた場合には、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。なお、2020年度末の連結有利子負債残高は1兆1,822億19百万円、D/Eレシオは3.7倍、2020年度の連結営業外費用における支払利息および社債利息は78億64百万円です。
当社グループでは、有利子負債残高の削減に努めており、また、金利変動による影響を軽減するため、金利の長期固定化を図っています。

12.株式相場の変動

株式相場の変動により、時価のある投資有価証券の価格が下落し、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。また、年金資産(退職給付信託を含む。)の一部は上場株式で運用しており、株価の下落は退職給付費用の増加や掛金拠出の増加につながるおそれがあります。
当社グループでは、定期的に投資有価証券の市場価格を把握し、リスクを抑制しています。年金資産の運用については、外部の専門家によるアドバイスを参考にしつつ、定期的に運用状況の確認と見直しを行っています。

13.デジタル情報技術の進化による生活様式の変化

ITの進化により在宅勤務やオンライン会議の環境が整備されつつある中、新型コロナウイルス感染症の拡大によりこれらが急速に普及し、公共交通機関を利用した通勤や遠距離の出張が減少しています。今後この動きがさらに進んだ場合は、鉄道・バスなどの運輸収入やオフィスビルなどの不動産賃貸収入が減少するおそれがあります。
当社グループとしては、乗ること自体を目的とした鉄道車両の開発、伊勢志摩や奈良など沿線観光地の一層の魅力向上等により観光旅客の増加を図るとともに、競争力のあるエリアでの不動産賃貸事業の展開に加え、施設のリニューアル等により資産価値の維持・向上を図っていきます。また、新しい生活様式の定着を見据えたサービスの提供に努めていきます。

14.情報の漏洩等

当社グループは、定期乗車券の発売やカード会員の募集、ホテル、百貨店、旅行業等の営業を通じ、お客さまの個人情報その他の機密情報を保有しています。万一これらの情報への不正なアクセス、情報の紛失、改ざん、漏洩、消失等が発生した場合、損害賠償等による費用が発生するほか、信用失墜などにより、業績等に悪影響を及ぼす可能性があります。
当社グループでは、情報の漏洩等を防ぐため、法令、「近鉄グループ情報セキュリティ基本方針」ならびに各社が制定する規程等に基づき、各社がその責任において情報セキュリティを確保し、情報を厳重に管理しています。

15.企業買収等

当社グループ各社は、今後の成長に向けた競争力強化のため企業買収等を行っており、また、将来行うことがあります。
当社グループとしては、個々の案件の規模等に応じて、取締役会および各社における各種の会議体での審議ならびに投資先に対するデューデリジェンスを十分に実施することにより、企業買収等の検討を進めるとともに、買収先の資産効率の向上および利益の最大化に努めていきます。
なお、買収先企業の業績が買収時の想定を下回る場合、または事業環境の変化や競合状況等により期待する成果が得られないと判断された場合には、企業買収等を行ったグループ各社においてのれん等の減損損失が発生し、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。2015年5月には、持分法適用関連会社の株式会社近鉄エクスプレスが、グローバルにロジスティクス事業を展開するAPL Logistics Ltdの買収を行っており、2021年3月末時点において、株式会社近鉄エクスプレスの連結財務諸表で当該買収に関連する固定資産990億58百万円(顧客関連資産261億68百万円、商標権69億78百万円およびのれん461億59百万円を含む)が計上されています。

異例事態対応規程

大事故、大地震などの大規模自然災害、大規模な火災、テロなどの第三者による破壊行為、新型感染症等、異例事態発生時には、その規模・状況に応じて、全社で異例事態に対応し、「対策本部」を設置することを「異例事態対応規程」に定めています。

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