TCFDへの取組み
(全体更新日:2023年1月20日)
(★印 更新日:2023年12月8日)
目次
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- TCFD提言への賛同
- TCFD提言に基づく開示(㈱近鉄エクスプレス)
- 気候変動に関するTCFD提言への取組み
- 気候関連のガバナンス
- 気候関連のリスク管理
- 気候関連の戦略(鉄道事業のシナリオ分析の実施)
- 気候関連のリスクと機会(鉄道事業のシナリオ分析①)
- 2030年度と2050年度における世界観(2℃・4℃シナリオ)の整理(鉄道事業のシナリオ分析②)
- 事業インパクト評価(鉄道事業のシナリオ分析③) ★
- 今後の対応(鉄道事業のシナリオ分析④)
- 気候関連の戦略(主要事業のシナリオ分析の実施)(不動産、国際物流、流通、ホテル、旅行事業)
- 気候関連のリスクと機会(主要事業のシナリオ分析①)(不動産、国際物流、流通、ホテル、旅行事業)
- 2050年度における世界観(2℃・4℃シナリオ)の整理(主要事業のシナリオ分析②)(不動産・流通・ホテル・旅行事業)
- 指標と目標① 近鉄グループ環境目標(2021年度~2030年度)達成状況★
- 指標と目標② エネルギー使用量(2015年度~2022年度)★
- 指標と目標③ CO2排出量(総量と原単位)(2015年度~2022年度)★
- CDPへの回答による情報開示
TCFD提言への賛同
2021年8月、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)による提言へ賛同しました。気候変動が大きな社会課題となる中、当社グループは他の交通機関に比べてエネルギー効率が高く環境にやさしい鉄道を中心に事業を営んでおり、環境負荷の軽減に一層取り組むことで、脱炭素・循環型社会の実現に貢献します。引き続き、気候関連のシナリオ分析や戦略策定を進め、ホームページ等で適切に情報を開示するとともに、グループ全体で長期的に気候変動対策に取り組み、政府方針の2050年の脱炭素社会実現へ貢献していきます。
TCFD提言に基づく開示( ㈱近鉄エクスプレス )
㈱近鉄エクスプレスは、2021年12月17日に、TCFD提言への賛同の表明を行いました。
TCFDが提言する情報開示フレームワーク(気候変動のリスク・機会に関するガバナンス、戦略、リスク管理、指標と目標)に沿った情報開示を2022年8月に行いました。今後もTCFD提言のフレームワークを活用して、継続的に情報開示の質と量を充実させるとともに、気候変動への取り組みを一層推進し、持続可能な社会の実現に貢献します。
気候変動に関するTCFD提言への取組み
「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD:Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」は、G20(財務大臣・中央銀行総裁会議)の要請を受けた金融安定理事会により設置され、2017年6月に最終報告書(TCFD提言)を公表しました。TCFD提言では、気候変動が企業の財務にどのような影響を与えるかに関して、「①ガバナンス体制、②戦略、③リスク管理、④指標と目標等」について、情報開示の枠組みを示しており、有価証券報告書等での開示を推奨しています。当社では、取組みを行っている内容を中心に、できる範囲から開示に取り組みます。
TCFDが気候変動に関して開示を推奨する内容
- ①気候関連のガバナンス
-
- 気候関連のリスクと機会について、取締役会がどのように監視しているか
- 気候関連のリスクと機会を評価・管理するうえでの経営陣の役割
- ②気候関連の戦略
-
- 気候関連のリスクと機会がもたらす、組織への事業・戦略・財務計画への現在および潜在的な影響
- 短期・中期・長期それぞれの気候関連のリスクと機会
- 将来の気温上昇が2℃または1.5℃となる等のシナリオに対して、組織がどのように対応していくか
- ③気候関連のリスク管理
-
- 気候関連のリスクと機会の特定・評価プロセス
- 気候関連のリスクと機会の管理プロセス
- 気候関連のリスクの特定・評価・管理プロセスが、総合的リスク管理に対して、どのように統合されているか
- ④気候関連の指標と目標
-
- 気候関連のリスクと機会を評価および管理する際に用いる指標
- 気候関連のリスクと機会を評価および管理する際に用いる目標と実績
- スコープ1~3の温室効果ガス排出量と関連するリスク
気候関連のガバナンス
当社は、お客さま、地域社会、株主、取引先、従業員等ステークホルダーとの信頼関係を築き、長期的な視点での社会課題解決と企業価値向上を図るため、CSR委員会を設置しています。
CSR委員会は、当社社長を委員長として、当社役員および主要な近鉄グループ会社のCSR担当役員により構成し、年2回程度定期的に開催しています。サステナビリティの重要テーマの一つである「脱炭素・循環型社会実現への貢献」に向けた事業活動を推進するため、気候変動を含む環境保全に関する方針や目標の策定、実績管理、リスクと機会の評価、対応策の確認などを行います。
取締役会では、気候変動の影響を含む事業リスクや機会に対応する重要案件について審議・確認しています。また、気候変動リスクに対応するためのインフラの強靭化投資ほか重要な事案については、近畿日本鉄道㈱をはじめとする、事業会社の取締役会などで審議しています。
気候関連のリスク管理
気候関連リスクの特定と評価は、全社レベルから部門レベルまで、各社・各部署において、様々な段階で行っており、特に重要なリスクについては、取締役会等で審議されます。
●全社的なリスク管理取締役会、経営会議、グループ戦略会議等
当社およびグループ会社における事業等のリスクを適切に管理するための基本的な事項を定めた「リスク管理規程」を制定しています。本規程に基づき、取締役会、経営会議およびグループ戦略会議などをリスク管理機関と定めた上で、気候変動リスクも含めた事業等のリスクを確実に把握し、リスク発生の予防および発生した場合の損失拡大防止の観点から適切な対策を立案、実施する、リスク管理を行います。また、リスク情報の集約部署である経営戦略部、総務部は、各部門やグループ会社から、想定されるリスクを集約し、重要度を全社的視点から整理します。
リスク案件のうち重要な業務執行については、経営会議等で方向性や諸施策を審議し、取締役会で審議・決定しています。
●気候関連のリスク管理CSR委員会
当社社長と役員、主要グループ会社の役員を委員とする「CSR委員会」は、CSR(気候変動を含むESG全般)に関する事項を所管し、長期的な視点で解決を図る機関で、気候変動に関連する方針・目標策定、実績管理やリスクと機会の管理をおこなっています。主要なグループ会社は、それぞれ気候変動に関するリスクと機会を評価しており、CSR委員会でその内容や対応策を報告、委員会メンバーが評価・監督しています。
また、一定額以上の対応策については取締役会で審議し、気候変動に影響がある省エネへの取組み状況も確認しており、CSR委員会と取締役会のチェックが働くことで、適正に管理しています。
気候関連の戦略(鉄道事業のシナリオ分析の実施)
2022年度に、近鉄グループの主要事業である鉄道事業(近畿日本鉄道㈱)を対象として、シナリオ分析を実施しました。
近畿日本鉄道㈱は、2021年度において、CO2排出量の54.5%、営業収益の16.1%を占めています。
シナリオ分析の進め方
2022年度は1,2,3,4を実施
営業収益(2021年度)
CO2排出量(2021年度)
気候関連のリスクと機会(鉄道事業のシナリオ分析①)
移行リスク(鉄道事業)
種類 | リスクの内容 | 評価 | リスクへの対応の方向性 |
---|---|---|---|
政策・ 法規制 |
炭素税等の税制改正による負担増 | 大 | 省エネ車両、省エネ設備導入 |
再エネ・省エネ拡大への政策(再エネ賦課金等)によるエネルギーコスト増 | 大 | 最適なエネルギー源の組み合わせ |
|
市場 | 原油価格の高騰によるエネルギーコスト増 | 大 | 補助制度の積極的な活用 |
エネルギー構成の変化(再エネ使用割合増)による電力供給の不安定化 | 中 | 大規模蓄電池導入 |
|
サプライヤーの環境コスト転嫁による資材価格の高騰 | 中 |
設備要件や更新計画の適正化 不具合箇所の早期検知、修繕 |
|
技術 | 新技術(低炭素技術、省エネ技術)導入コスト増 | 中 | コストとパフォーマンスを勘案した新技術の精査 |
評判 | 環境対応の遅れによるお客さまからの評判低下 | 中 |
鉄道の環境優位性のアピール強化 安全で正確な輸送サービスの提供 |
投資家からの評判低下による資金調達への悪影響 | 中 |
環境目標の取組み状況の情報開示 TCFD提言への賛同および情報開示やCDPへの回答 |
物理的リスク(鉄道事業)
種類 | リスクの内容 | 評価 | リスクへの対応の方向性 |
---|---|---|---|
急性 | 風水害による被害の増加 | 大 |
大規模災害に備えた防災対策工事の実施 鉄道施設の監視システム(雨量、河川水位)の整備 |
電力会社からの電力供給の停止 | 中 |
電力供給元の多様化(自家発電・複数の電力会社) 大規模蓄電池の導入 |
|
サプライヤーの物流寸断による必要な物品の不足 | 中 |
列車運行に影響する重要物品のサプライチェーンの「複線化」 重要資材の貯蔵品化 |
|
慢性 | 暑さによる営業収入の減少(お客様の出控え、インバウンドの流出) | 中 | 観光開発や魅力的な交通手段の提供等による外出需要喚起施策の実施 |
機会(鉄道事業)
機会の内容 | 評価 | 機会への対応の方向性 | |
---|---|---|---|
資源の効率性 | 消費電力量の削減となる省エネ技術の発展 | 大 | 省エネ車両、省エネ設備導入 |
再エネ・省エネ拡大への政策 | 中 | 補助制度の積極的な活用 |
|
エネルギー源 | エネルギー調達の最適化によるエネルギーコストの低下 | 中 |
大規模蓄電池の活用や、社内の送電系統を変更 再エネ設備の導入 |
製品と サービス |
環境を重視した消費者マインドの醸成による鉄道需要の増加 (車から鉄道へのモーダルシフトの加速) |
大 |
鉄道の環境優位性のアピール強化 省エネ車両の導入推進 |
市場 | コンパクトでクリーンな街づくりを目指した公共交通重視の政策による需要の拡大 | 大 |
MaaSの拡充 鉄道直結の二次交通サービスの拡充 地域連携による沿線の活性化 政策を踏まえた鉄道利用促進施策の実施 |
グリーン投資の拡大 | 中 |
近鉄環境目標の取組み状況の情報開示 TCFD提言への賛同および情報開示やCDPへの回答 |
|
カーボン市場の活性化 | 中 |
カーボン市場への参画 鉄道の環境優位性の活用 |
|
レジリエンス | 風水害対応工事実施によるお客さまからの信頼確保 | 大 |
大規模災害に備えた防災対策工事の実施 災害時における事業復旧の迅速化(早期運転再開) |
2030年度と2050年度における世界観(2℃・4℃シナリオ)の整理(鉄道事業のシナリオ分析②)
2030年度および2050年度の鉄道事業について、将来の気温上昇が2℃のシナリオ、4℃のシナリオを検討しました。
2050年度については、影響をイラスト化しています。
- (2℃シナリオ)
- 現状を上回る厳しい温暖化対策を取り、21世紀末の気温を、産業革命時期比で2℃未満に抑えるシナリオ
- (4℃シナリオ)
- 現状を上回る温暖化対策を取らず、21世紀末の気温が、産業革命時期比で4℃前後上昇するシナリオ
2050年・2℃の世界(鉄道事業)
低炭素化の推進による再エネやスマートシティが普及
2050年・4℃の世界(鉄道事業)
低炭素化が進まず、物理的リスクが増大する
事業インパクト評価(鉄道事業のシナリオ分析③)
鉄道事業について、将来の気温上昇が2℃のシナリオ、4℃のシナリオを検討し、事業活動に大きな財務的な影響を与えると思われる要素を抽出し、2030年度と2050年度における財務影響額を試算しました。
将来的に影響を与える要素(パラメータ)
2030年 | 2050年 | 出典 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
2℃ | 4℃ | 2℃ | 4℃ | |||
移行リスク | 炭素税 | 100$ /t-CO2 |
炭素税は ない |
160$ /t-CO2 |
炭素税は ない |
IEA「World Energy Outlook 2021」 (2021.10) |
再エネ賦課金の 上昇 (2020年比) |
100% 増加 |
50%増加 | 再エネ賦課金は廃止 | 環境省「平成25年度 2050年再生可能エネルギー普及可能性検証検討報告書」 (2015.1) |
||
原油価格の上昇 (2020年比) |
33%増加 | 83%増加 | 19%増加 | 110% 増加 |
IEA「World Energy Outlook 2021」 (2021.10) 原油価格 2020年:42$ 2030年:77$ 2050年:88$ |
|
物理的 リスク |
洪水発生頻度 (2020年比) |
約1.5倍 | 約2倍 | 約2倍 | 約4倍 | 国交省「気候変動を踏まえた治水計画に係る技術検討会」(2021.4) |
2030年と2050年における財務影響額
項目 | 追加の影響額(年間) | 備考 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
2030年 | 2050年 | ||||||
2℃ | 4℃ | 2℃ | 4℃ | ||||
移行リスク | 炭素税の負担 | +50億円 | - | ※ | - | ※2050年CO2排出量実質ゼロを目指しているが、達成できない場合は税負担が発生 | |
電力料金の増加 | |||||||
再エネ賦課金の 上昇 |
+20億円 | +10億円 | - | - | 2050年に再エネ賦課金は廃止 | ||
原油価格の 上昇 |
+10億円 | +30億円 | +7億円 | +30億円 | 原油価格の上昇に加え、将来の日本の発電構成を考慮して試算 | ||
物理的 リスク |
風水害の影響 | ||||||
設備被害額 | +1.5億円 | +3億円 | +3億円 | +9億円 | 過去10年平均の風水害に伴う設備被害額、減収額より試算 | ||
運休による 減収 |
+2億円 | +4億円 | +4億円 | +12億円 |
今後の対応(鉄道事業のシナリオ分析④)
鉄道事業における気候変動の影響について、専門機関が描く2℃上昇と4℃上昇のシナリオに基づき分析を行った結果、「税制改正」、「エネルギーコスト増」、「災害激甚化」について事業へのリスクが高いことがわかりました。
4℃シナリオでは、自然災害による鉄道施設への被害が増加して復旧工事費が増加するとともに、運転休止により収入が減少することとなります。
2℃シナリオでは、炭素税の導入や再生可能エネルギーによるコスト増加が見込まれる一方で、鉄道の環境優位性を保つことができれば他の交通機関からの転換による機会を得ることも予想されます。
鉄道事業では、現行の省エネ・CO2排出量削減策を継続して実施するとともに、災害激甚化に備えた防災対策工事や省エネ効果の高い新型一般車両導入を推進するなどさまざまな取り組みを進めることで、リスクの最小化・機会の最大化を図り、脱炭素・循環型社会の実現に貢献していきます。
気候関連の戦略(主要事業のシナリオ分析の実施)
(不動産、国際物流、流通、ホテル、旅行事業)
近鉄グループの主要事業である、不動産事業、国際物流事業、流通事業、ホテル事業、旅行事業を対象として、シナリオ分析を実施しました。
2022年度は、リスクと機会の洗い出しと、2050年度における世界観の整理、今後の対応の方向性の検討を実施しました。
シナリオ分析の進め方
2022年度は1,2,4を実施
気候関連のリスクと機会(主要事業のシナリオ分析①)
(不動産、国際物流、流通、ホテル、旅行事業)
移行リスク(不動産、国際物流、流通、ホテル、旅行事業)
リスクの内容 | 業種 | 評価 | リスクへの対応の方向性 | |
---|---|---|---|---|
政策・法規制 | 炭素税導入によるコスト増 |
不動産 | 大 | 環境性能の高い物件の普及に注力 |
流通 ホテル |
大 |
店舗や施設の省エネ設備・機器の導入など省エネ対策の強化 再エネ設備の導入 |
||
国際物流 | 中 | |||
再エネ・省エネ拡大への政策(再エネ賦課金等)によるエネルギーコスト増 |
不動産 流通 ホテル |
大 | 店舗や施設の省エネ設備・機器の導入など省エネ対策の強化 |
|
新築・修繕物件へのエネルギー効率基準引上げ、新築ビルのZEB対応、新築マンション・戸建のZEH対応必須化に伴う工事費の上昇 |
不動産 | 大 |
共用部照明のLED化や設備更新による環境性能向上 新築ビル開発時のZEB化や再エネ活用検討 住宅建築時のZEH等の脱炭素製品採用 |
|
排出量報告義務の強化に伴うコスト増 |
国際物流 | 中 | 航空・海上・トラック輸送による排出量情報の提供 |
|
CO2排出量の少ない運送機関、宿泊機関の利用を求める規制の実施 |
旅行 | 大 | CO2の排出量が少ないツアーを組成・販売 |
|
評判 | 低GHG輸送手段の提供要請に応えられないことによる、売上高の減少 |
国際物流 | 中 |
脱炭素取組みを進めているキャリア等との関係性の構築 SAF等へのプログラムの参画 |
物理的リスク(不動産、国際物流、流通、ホテル、旅行事業)
リスクの内容 | 業種 | 評価 | リスクへの対応の方向性 | |
---|---|---|---|---|
慢性(気温上昇) | 猛暑・厳冬等に起因した工期遅延 |
不動産 | 小 | 計画的な空調設備の更新、省エネ性能向上 |
猛暑等による店舗への来店客数の減少 |
流通 | 大 | ECサイトの拡充 |
|
猛暑等によるお客さまニーズの変化への対応遅れ |
小 | お客さまニーズに対応した品揃えや売場づくり |
||
食中毒等発生のリスク 従業員の健康管理に関するリスク |
流通 ホテル |
大 |
食品衛生管理の徹底 従業員の健康管理強化、労働時間の適正化 |
|
猛暑等による農産物等の収穫量減少、原材料・生鮮食品等のコスト増、品質低下など商品調達リスク |
小 |
サプライヤーのポートフォリオ構築 地域や農家との取組みを強化による安定供給や取引先開拓 |
||
猛暑等による旅行マインドの低下、旅行先の変化 |
ホテル 旅行 |
中 |
旅行シーズン、旅行先の変化に応じた商品開発 テーマ旅行など特色のある旅行商品、環境配慮型旅行商品の拡充 |
|
急性(自然災害激甚化) | 台風・大雨など自然災害の激甚化による施設の損傷・浸水被害やそれに伴う営業の休止 |
不動産 | 小 |
賃貸ビルに対する企業財産包括保険の付保(自然災害の被害をカバー) 調査時の水害リスク等の検証、水害ハザードマップ等を参考にした設計、電気室の上層階設置などによる、安心な住宅の提供 日常管理、復旧補修工事時の土壌改良 |
国際物流 | 中 |
当局や各種取引先等との連携を進め、各種水害や災害への対応の推進 フォワーディング事業用倉庫は代替施設・ルート等の選定により、安定的な物流網構築を推進 |
||
流通 | 小 | 閉店時間の繰り上げ、飛散防止対策等による物的被害の抑制 |
||
公共交通機関の運休によるお客様・従業員の安全を考慮した店舗休業 |
大~小 |
危機管理マニュアルの整備 安否確認システムを利用した情報収集・発信 緊急連絡網を整備のうえ、情報収集・発信の徹底 |
||
自社およびサプライヤー施設の被災や道路の寸断による物流網のストップ、店舗営業への支障 |
小 | サプライヤーのポートフォリオ構築 |
||
台風や大雨によるお客様の未着、滞在中のお客様の滞留 |
ホテル | 小 | 防災マニュアルの策定、定期的な訓練 |
|
自然災害の激甚化による旅行提供機会の喪失 |
旅行 | 小 |
旅行業以外の事業(地域創生事業、BPO等)の収益拡大 激甚災害を想定したより高度なBCP確立 |
気候変動の機会(優位性・ビジネスチャンス)
機会・優位性の内容 | 業種 | 機会取り込みの方向性 |
---|---|---|
1.製品・サービスに関するもの | ||
低炭素型建築など環境性能の高い物件へのニーズ増 |
不動産 |
高断熱住宅の提供 ZEH等、環境性能の高い商品の採用 既存ビル、施設のLED化や設備更新による建物の環境性能向上 新築ビルのZEB化や再エネ活用検討 |
持続可能な航空燃料(SAF)の積極導入やキャリアと連携したカーボンオフセット推進による、顧客評判の向上 |
国際物流 |
SAFプログラムへの参画 クレジット品質を精査したうえで、今後取引先航空会社のオフセット・プログラムにもSAF同様、戦略的に参画予定 |
防寒・防暑グッズの需要増 防災グッズの販売 |
流通 |
特設コーナーの設置 外販およびECサイトでの拡販 商品の欠品防止 |
環境配慮型商品・サービスの需要増 温暖化による、リゾートホテルのオンシーズン期間の長期化 |
ホテル 旅行 |
CO2の排出量が少ないツアーの組成、販売 リゾートの新たな楽しみ方の提案や商品開発 |
2.市場に関するもの | ||
天候の影響を受けにくい、駅との直結・隣接や、駅ナカ等の好立地な店舗展開 |
ホテル | 近鉄グループの連携強化、ホテルまでの移動の利便性、快適性向上 |
天候の影響を受けにくい、駅との直結・隣接や、駅ナカ等の好立地な店舗展開 |
流通 |
近鉄グループの連携強化による、好立地への出店 駅施設と店舗の最適配置 |
顧客のサステナビリティを意識したライフスタイルの変化に対応した市場創出 |
環境配慮型商品、サービスの提供 |
|
非来店購買手段の提供 移動スーパーによる自宅至近での買い物機会の提供(猛暑日等に店舗来店不要) |
EC販売の拡充 ネットスーパーの取扱店舗拡大 移動スーパーの運行台数拡充 |
|
3.レジリエンスに関するもの | ||
気候変動に影響されない地域・手法を利用した商品開発 |
旅行 | VR等などのIT技術を使って疑似体験できるような商品の開発 |
2050年度における世界観(2℃・4℃シナリオ)の整理
(主要事業のシナリオ分析②)(不動産・流通・ホテル・旅行事業)
2050年・2℃の世界(不動産・流通・ホテル・旅行事業)
低炭素化の推進による再エネやスマートシティの普及
2050年・4℃の世界(不動産・流通・ホテル・旅行事業)
低炭素化が進まず、物理的リスクが増大する
CDPへの回答による情報開示
CDPとは、世界の機関投資家が賛同し、NPOが世界の企業に対して、気候変動のリスクと機会の内容、戦略や温室効果ガス排出量等の公表を求める活動で、質問内容はTCFDの開示内容に準拠しており、各社の回答はCDPのホームページで公表されています。
CDPは、以前は「カーボン・ディスクロージャー・プロジェクト」という名称でしたが、2022年はプライム市場上場企業を対象に、「気候変動」「水」「森林」の3つのテーマで調査を実施しており、当社は2010年から毎年「気候変動」に回答し、情報開示しています。
当社のCDP(気候変動)スコア
2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 2022年 |
---|---|---|---|---|---|
B | C | B | B | B | B |