90年の軌跡ここにあり
当館の館長・上村淳之は、美人画で有名な画家・上村松園を祖母に、花烏画家・上村松篁を父に昭和8年(1933)に生まれ、令和5年、卒寿を迎えました。
淳之は、「幼いころから、頼まれもしないのに、父が飼っていた小烏たちの世話が大好きであった」といいます。そんな淳之は、美大三年生までの課題制作を終えると、専ら花烏画を描くようになります。「鳥が好きだからテーマになり、テーマになるから鳥の数も増えてゆく」と述べるように、「唳禽荘」(自宅・アトリエ)で多くの烏と共に暮らし、絵筆を握ってきました。その業績により、平成25年(2013)に文化功労者となり、令和4年(2022)文化勲章を受章しました。
東洋的感性の減退や現代の日本画について、真摯に警告を発し、さまざまな鳥の姿を通じて、自然の叡智を示し、未来へのメッセージを送り続ける上村淳之の姿を紹介します。