ごあいさつ

近鉄グループホールディングス㈱ 代表取締役社長 吉田昌功

はじめに

 近鉄グループは、暮らしの安心を支え、新たな価値を創出し、社会に貢献することをグループ経営理念として掲げております。この理念のもと、「近鉄グループ経営計画(2015年度~2018年度)」を定め、計画達成に向けた取組みを推進しており、今年度は計画の最終年度にあたりますが、目標として掲げた経営指標は達成できる見込みです。
 現在は、当社グループの将来のあるべき姿を総合的・長期的視点で見据え、企業価値を高めてさらに飛躍するため、2019年度からの新たな経営計画を策定中であります。今後の成長戦略の軸としては、「人材の確保・育成」「インバウンド」「事業領域の拡大」「テクノロジーの活用」の4つのテーマを重視してまいります。

人材の確保・育成

 1つ目の「人材の確保・育成」では、少子高齢化の進行により、中長期的に人手不足はさらに深刻化すると予想されます。また、インバウンドへの対応、事業領域の拡大、テクノロジーの活用のためには、その原動力となる優秀な人材の確保と育成は喫緊の課題です。当社では、グループ各社の求人情報の紹介から応募の受け付けまでをワンストップで行う「近鉄おしごとステーション」を昨年3月に開設し、これまでに約2.6万人の応募を集め、6千人以上を採用しました。
 また、従業員の仕事と子育ての両立を支援し、これにより優秀な人材を確保するため、グループ各社の従業員を対象とした保育所を近鉄沿線の3ヶ所で開設しています。従業員にとって働きやすい環境を提供し、人材の確保と生産性の向上に努めてまいります。

インバウンド

 2つ目の「インバウンド」では、海外からのお客様を取り込むために、鉄道・ホテル・百貨店などにおいて様々な取組みを行っており、さらに、大阪へのIRや国際イベントの誘致が実現すれば、関西地区への旅行者は飛躍的に増えると予想されます。訪日外国人旅行客数を2018年の約3,000万人から、2030年には6,000万人にするという国策に呼応して、受け入れ態勢の整備を進め、大きな市場を取り込みたいと思います。また、奈良や伊勢志摩方面への旅客誘致にも、引き続き取り組んでまいります。
 ㈱近鉄・都ホテルズでは、インバウンドのお客様の急増などの環境の変化や、お客様が求めるおもてなしのスタイルの変化などに対応するため、長年親しまれた「都ホテル」のブランドを2019年4月より「都ホテル」「都シティ」「都リゾート」の3つのカテゴリーに再編するとともに、2019年から2020年にかけて東京・大阪・博多に新たなホテルを開業します。

事業領域の拡大

 3つ目の「事業領域の拡大」では、国内市場が縮小傾向にある中、当社グループが将来にわたり成長し続けるためには、事業エリアを特に今後は海外に拡げていくことも必要です。アジア地区においては、戦略拠点である台北支社を介して、台湾の国有鉄道を運営する「台湾鉄路管理局」と友好協定を締結するなど、相互誘客の取組みを進めております。
 近鉄不動産㈱では、同社初の海外での分譲住宅事業として、ベトナム・ハノイの開発プロジェクトに参画いたしました。海外事業を収益源に育てるべく、新たなビジネスチャンスの発掘に努めてまいります。
 また、事業基盤を拡大して新規事業にも取り組んでまいります。その一環として、ベンチャー企業に対する投資を行う「近鉄ベンチャーパートナーズ㈱」を本年8月に設立しました。当社グループの経営資源とベンチャー企業のテクノロジーや斬新なアイデアを融合することで、グループ各社の事業領域の拡大や、新たな柱となる事業の創出につなげてまいります。

テクノロジーの活用

 4つ目の「テクノロジーの活用」では、どの事業分野でもAIやITなどの先進的な技術を積極的に活用していくことが必要です。近畿日本鉄道㈱では、安全、働き方改革、サービス向上などをテーマとする研究に着手しており、最新技術の実用化に努めております。本年7月には、AIを用いた訪日外国人向け観光案内サービス「奈良ガイドボット」の実証実験を実施しており、将来的には全てのお客様によりわかりやすく、より使いやすい鉄道サービスの実現を目指しております。
 また、近鉄不動産㈱では、専用ゴーグルを付けてマンション竣工後の室内の様子や眺望を体感できる「仮想現実体感ルーム」を設置し、購入検討者の満足度を高めております。
 あべの・天王寺エリアでは、ブロックチェーン技術とスマートフォンを組み合わせた仮想地域通貨「近鉄ハルカスコイン」の2回目の社会実験を実施します。今後も新たなテクノロジーを活用した事業構造の変革に挑戦し、お客様に支持されるビジネスモデルの構築に努めてまいります。

CSRの推進

 以上の4つの成長戦略を確実に実行するためには、チャレンジ精神を持って変革に取り組むことが重要です。現在はインバウンドなどの追い風を受けておりますが、将来的には人口減少の影響を受けて、当社グループを取り巻く事業環境は厳しくなることが予想されるため、既存事業を再編し、新しい技術や事業に投資して、将来の成長につなげてまいります。
 また、当社グループが持続的に成長するためには、CSRの推進も不可欠です。安全の確保はもちろんのことながら、コンプライアンスの徹底とガバナンスの強化、近鉄グループ中期環境目標に基づく環境に配慮した活動を進めてまいります。
 社会への貢献を進めるとともに、企業価値の増大に向けて、グループ一丸となって取り組んでまいります。


2018年11月

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