鉄道事業の環境取組み

(全体更新日:2022年12月23日)

目次

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近畿日本鉄道㈱環境方針

(2015年4月1日 改訂)

環境に優しい鉄道の利用を促進することが地球環境の保護につながることを念頭に置き、以下の方針に基づき環境保全活動を推進します。

  1. 1.環境関連の法規制を遵守するのはもちろん、目標を定めて環境保全に努めます。
  2. 2.省エネルギー、省資源、リサイクル、廃棄物の削減等への取組みを通じ、地球の温暖化防止、環境負荷軽減に努めます。
  3. 3.環境教育を通じて、社員の意識向上を図ります。
  4. 4.地域社会との関わりを大切にし、環境保全活動への取組みを通じ広く社会に貢献します。
  5. 5.この環境方針は社員へ周知するとともに、一般に公表します。

近畿日本鉄道㈱ 環境目標(2021年度〜2030年度)

近畿日本鉄道㈱ 環境目標(2021年度〜2030年度)達成状況

近畿日本鉄道㈱ 鉄道事業の環境負荷データ(2015年度~2021年度)

  • ☆印は、鉄道事業における「省エネ法に基づく定期報告書」(国土交通省へ毎年度提出)による数値を記載しています。
  • 指数は、2015年度実績を100として算出した数字を記載しています。
  • 2020年度までの近畿日本鉄道㈱環境目標(2015年度~2020年度)は、近畿日本鉄道㈱が分社化した2015年度を基準にしており、上の表も2015年を基準年(指数=100)としています。
  • 2021年度以降の近畿日本鉄道㈱環境目標(2021年度~2030年度)では、2013年度の鉄道事業を基準年としています。

鉄道事業の電力消費( 近畿日本鉄道㈱ )

鉄道事業においては、使用するエネルギーの大部分を電力が占めており、列車を動かすために使用する電力を「運転用電力」、駅施設等で使用する電力を「付帯用電力」といい、これらの電力の削減に取組むことが、省エネルギーにつながります。
2021年度の鉄道用電力は約680百万kWh(前年度比3.5%減)で、うち運転用電力量は前年度比3.7%減、付帯用電力量は前年度比3.3%減でした。
車両走行キロは前年度比3.7%減でした。
また、電車の発車本数が増えて、走行距離が増えるほど、電力使用量も増えるため、電力消費が少ない省エネ車両や、LED照明などの各種設備の導入を進めています。

鉄道用電力消費の推移

(単位:百万kWh)運転用電力付帯用電力

鉄道用電力消費の推移のグラフ
電力消費の推移 1990年度 2021年度
動力原単位
(kWh /車キロ)
2.48 2.10
(△15.3%)

※車キロとは、車両走行キロの略で、回送を含む年間の車両の延べ走行距離。(2021年度:283,393千km)
運転用電力(2021年度:595,163千kWh)を走行距離で割ることで、車両走行1kmあたりの使用電力量がわかります。

運転用電力消費と省エネ車両比率の推移( 近畿日本鉄道㈱ )

運転用電力消費と省エネ車両比率の推移

消費電力の削減に貢献する省エネルギー車両を順次導入し、2022年3月末現在、全車両(1,906両)の64%にあたる1,222両が省エネルギー車両です。そのうち特に省エネ効果の高いVVVF車両は974両で、従来の車両と比べて消費電力を35%削減しています。また、アルミ車両、ボルスタレス台車により車両の軽量化も図っています。
省エネルギー車両とは、回生ブレーキ装備または軽量化車両(アルミ製)の車両です。

しまかぜしまかぜ
ひのとりひのとり

LED照明導入( 近畿日本鉄道㈱ )

LED照明導入率

LED照明導入率

LED照明導入率

長寿命で省エネ効果が高いLED照明を、2012年度より駅や車両で使用しています。
駅のLED照明は、ホーム、コンコース、外灯、駅務室、トイレ等に導入しています。
車両のLED照明は車内灯等で使用しており、観光特急「しまかぜ」「あをによし」、名阪特急「ひのとり」の車内照明は、すべてLED照明を使用しています。

2022年3月末現在、駅のLED照明は、287駅中285駅に導入しており、駅照明台数の87.7%(50,394台/57,463台)です。
また、車両のLED照明は、全車両台数の34.9%(665両/1906両)に導入しています。

駅と車両のLED照明をあわせた電力使用量の省エネ効果は、年間1,624万kWhになります。

鉄道事業におけるCO2排出

日本政府は2050年のカーボンニュートラル実現を目指すことを宣言し、2021年4月に「2030年に2013年度比で温室効果ガス46%削減を目指す」という新たな目標を発表しました。

鉄道事業におけるエネルギー使用量のうち、電力は98%であり、その内訳は車両運行で88%、駅施設で12%を使用しています。日本のカーボンニュートラル実現に貢献するためにCO2排出量を削減するには、車両運行と駅施設におけるCO2排出量を減らすことが重要ですが、そのためには省エネ車両や省エネ設備の導入ほか、新たな技術開発が必要です。また、人口減少やライフスタイルの変化などの社会環境の変化や、電力会社によるCO2排出係数の変化の影響を受けるため、社会全体で取り組むことも必要となります。

車両運行におけるCO2排出量

車両運行におけるCO2排出量

近畿日本鉄道㈱ 環境負荷データ(2021年度)

エネルギー使用量およびCO2排出量

定期報告書の数字とは異なる(レジャーを除く全部署対象の数字を記載)

資源投入量

一般廃棄物

産業廃棄物

近畿日本鉄道㈱ 環境会計(2021年度)

環境保全コスト

環境保全コストの内容

環境保全に伴う経済効果

リサイクルにより得られた収入額は、有価物(鉄屑、非鉄金属屑、廃品器具、古まくらぎ等)の売却によるものです。

近畿日本鉄道㈱ 主な省エネルギー対策と効果(2021年度)

  • 削減量および費用削減額は、単年度での各項目導入以前との比較です。
  • 省エネ車両の効果は、一般車(カム車)との比較です。
  • 削減予想効果算出に、以下の数値で計算しています。鉄道用電力は1kWh=14円

近畿日本鉄道㈱ フロン漏えい量(2015年度~2021年度)

名阪特急アーバンライナーを使用した貨客混載事業の取組み

近畿日本鉄道㈱は、2021年7月、福山通運㈱との協業により、アーバンライナーで貨客混載事業を開始しました。大阪市内~名古屋市内で日用品等の荷物を当日中に配送する新たな運送サービスです。既存列車の空きスペースを有効利用して、当日配送による利用者の利便性向上と、トラック配送と代替することで、CO2排出量削減とドライバー不足解消に寄与する取組みです。

アーバンライナーへの荷物積込みの様子アーバンライナーへの荷物積込みの様子
貨客混載事業のイメージ貨客混載事業のイメージ

き電線上下一括化( 近畿日本鉄道㈱ )

上り線と下り線のき電線を電気的に接続することで、き電抵抗が減少し、き電線で消費されている電力損失の低減を図ります。また、回生ブレーキにより発生した回生電流が接続箇所を流れるため、上下の列車間でお互いに効率よく利用することで電力量削減を図ります。2022年3月現在で、奈良線、大阪線、京都線、橿原線、南大阪線、名古屋線、山田線、鳥羽線、志摩線等で実施しており、年間953万kWhの電力を節約しています。

地下駅の空調設備の効率化( 近畿日本鉄道㈱ )

地下駅の空調設備において、温度負荷に応じた細かい運転を行うインバータ化を図り、効率的な運転を行うことで電力消費を削減しています。
大阪難波駅、近鉄日本橋駅、大阪上本町駅、近鉄奈良駅、大阪阿部野橋駅、近鉄名古屋駅でインバータ化を実施し、年間約324万kWhの電力を節約しています。

力率改善用進相コンデンサの設置( 近畿日本鉄道㈱ )

通常は電力を使用する際には、電力ロスが発生しますが、力率改善用進相コンデンサを設置することでロスを減らし、電力効率を改善しています。尼ヶ辻変電所、中川変電所などの29ヶ所の変電所と、駅の電気室に設置し、年間252万kWhの電力を節約しています。

回生車と回生電力吸収装置( 近畿日本鉄道㈱ )

回生車とは、回生ブレーキ装備の車両で、速度を一定に抑える時や、減速する時に、モーターを発電機として使用し、発電された電気を他の車両で利用、もしくは回生電力吸収装置で吸収し、駅構内等の照明設備等に再利用できます。新生駒変電所、白庭変電所と長谷変電所に回生電力吸収装置を設置し、年間約210万kWhの電力を回収して再利用しています。

リサイクルの推進( 近畿日本鉄道㈱ )

廃車車両や中古のレール、まくらぎなどのうち再利用可能な材料は、積極的に再利用するなど、不要になった資材は社内においてリサイクルを図り、排出する廃棄物の減量に努めています。
またやむを得ず処理する廃棄物については、近畿日本鉄道㈱は産業廃棄物の排出事業者として、収集・運搬・処分業者に産業廃棄物管理票(マニフェスト)を発行し、適時処理現場を確認するなど、適正な処理を各業者に促しています。

また通勤車両(シリーズ21)に、リサイクルのし易い材料(シート:ポリエステル繊維、車体:アルミ材)を使用している他、紙製の乗車券や特急券のリサイクルにも取り組んでいます。

ごみの分別・減量( 近畿日本鉄道㈱ )

近畿日本鉄道㈱は、駅のごみ箱を、「缶」「ペットボトル」「新聞・雑誌」「その他」に分別し、ごみの減量とリサイクルに取り組んでいます。また、家庭ごみや危険物の不法投入等を防止するため、ごみ箱の透明化を実施しています。分別ごみ箱は、199駅に451台設置しています。(2022年3月現在)列車内から排出されるごみは、車両整備時に回収・分別しています。

分別ごみ箱分別ごみ箱

駅における節水の取組み( 近畿日本鉄道㈱ )

近畿日本鉄道㈱は、駅トイレにおいて、節水型蛇口を2011~2014年度の4年間で100駅(130ヶ所)のトイレに設置完了しています。また、節水型トイレは、対象249駅(274ヶ所ヶ所)のうち、2012~2021年度の9年間で91駅(106ヶ所)に設置し、節水に取り組んでいます。

車庫における水の有効利用( 近畿日本鉄道㈱ )

近畿日本鉄道㈱は、車庫(検車区)において、車体洗浄機により車両を洗浄しています。車体洗浄機から排出される洗浄排水は、排水処理装置により浄化して河川や下水道に放流しています。また、この水の一部を車体洗浄機やトイレ付車両の汚物タンク洗浄水として再利用しています。

車体洗浄排水図車体洗浄排水図
車体洗浄機車体洗浄機

なごやSDGsグリーンパートナーズの認定優良エコ事業所に認定されました。( 近畿日本鉄道㈱ )

近鉄名古屋駅は、名古屋市が定める「エコ事業所」認定制度において、2012年7月に鉄道会社初の「優良エコ事業所」認定を受けました。2021年4月に、これまでのエコ事業所認定制度が「なごやSDGsグリーンパートナーズ」に変更され、新たな制度となり、2021年9月に「認定優良エコ事業所」として認定されました。

ロゴマークロゴマーク

生物多様性との関わり( 近畿日本鉄道㈱ )

事業活動の様々な段階において、生物多様性への影響があることを認識し、負の影響をできるだけ抑制するよう、生物多様性の保全につとめています。

生物多様性との関わり

シカ踏切( 近畿日本鉄道㈱ )

近畿日本鉄道㈱は、2016年5月に、東青山駅付近に「シカ踏切」を導入しました。シカは、線路をはさんで存在する生息域を行き来しますが、線路周辺に設置された「獣害防止ネット」がガードレールの役割をしてシカが入り込むのを防ぎつつ、ネットの張られていない場所をシカが通るように誘導し、その場所に設置した装置から、列車運行時間帯はシカが嫌がる「超音波」を出して、鹿を横断させず、列車が通らない時間帯は自由に横断してもらう仕組みで、超音波が踏切の代わりになります。導入後、このエリアでの電車とシカの接触事故は大幅に減少しました。
また、シカ踏切が2017年度グッドデザイン賞を受賞しました。

シカ踏切 列車運行時間帯
シカ踏切 列車運行時間外シカ踏切イメージ図
近鉄東青山における獣害対策シカ踏切(東青山駅周辺)

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