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秋の特別展

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特別展 住吉広行 ―江戸後期やまと絵の開拓者―

会期
2022年10月8日(土)~ 11月13日(日)
※会期中展示替あり。
【前期】10月8日(土)~ 10月23日(日)【後期】10月25日(火)~11月13日(日)
休館日
月曜日休館(ただし、10月10日〈祝〉は開館し、翌11日〈火〉が休館)
開館時間
午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)
入館料

一般 950円 高校・大学生 730円 小学・中学生 無料

※20名以上の団体は相当料金の2割引で引率者1名無料
※「障がい者手帳」をお持ちの方とご同伴者1名2割引

主催:大和文華館  共催:毎日新聞社  後援:NHK奈良放送局

 住吉広行(1755~1811)は、住吉家の五代目当主として活躍した絵師です。住吉家当主は、江戸時代前期に活躍した初代の如慶、二代目の具慶以降はあまり注目されてきませんでしたが、具慶以降も代々幕府の御用を務めており、特に五代目の広行は、将軍家斉のもとで老中首座・将軍補佐を務めた松平定信に重用され、様々な重要な文化事業に携わりました。寛政度の内裏造営では、最も格の高い紫宸殿の「賢聖障子」の制作を、急逝した狩野家のトップの狩野典信に代わって広行が行い、名実ともにやまと絵界の頂点に立つことになります。

 広行は、有職故実や古画の知識を様々な絵画制作に活かし、復古的な画題を手掛けたり、古画の図様を積極的に取り入れたり、豊麗なやまと絵の彩色を極めたりしています。18世紀後期から19世紀前期にかけて活躍する復古やまと絵派や江戸琳派の絵師たちにも類似した傾向が見られ、広行の画業は、江戸時代後期のやまと絵の新しい方向性を先導するものとして注目されます。

 本展は、住吉広行を中心に取りあげるはじめての展覧会になります。広行が如慶・具慶の伝統をどのように引き継ぎ、新しい時代の要請にどのように応え、やまと絵の地平をどのように切り拓いていったのか、その画業を明らかにします。

展覧会の構成

第一章 広行までの流れ

 住吉家の歴史は、土佐家のもとで学んだ如慶が寛文3年(1663/資料によっては寛文2年)に住吉姓を賜ったことにはじまります。これは、鎌倉時代の伝説的なやまと絵師である住吉法眼慶恩の跡が絶えていたのを後水尾院が惜しみ、その意向を受けて後西天皇が如慶に住吉家を再興させたことによります。二代目の具慶より、住吉家の当主は代々幕府の御絵師(御用絵師)として活躍しました。第一章では、住吉家初代如慶、二代具慶、三代広保、四代広守、そして広守の弟子で住吉家の屋敷と扶持を一時的に相続した板谷広当の特徴がよく分かる作品をご紹介します。

伊勢物語絵巻 第四巻(部分)住吉如慶筆 東京国立博物館蔵[巻替あり]

第二章 広行の画業

 広行は、公的な由緒書では住吉家四代広守の子とされていますが、実は広守の弟子の板谷広当の子でした。若い頃から古画の模写を熱心に行い画技を磨き、天明元年(1781)27歳の時に住吉家五代目を継ぎ、幕府の御絵師(御用絵師)として活躍しました。寛政4年(1792)に復古様式の内裏にふさわしい賢聖障子を完成させたことで広行の評判は高まり、画壇における影響力を増すことになりました。この中核となる第二章では、(一)模本、(二)物語絵・歌絵・歌仙絵、(三)賢聖障子、(四)走獣画・中国故事人物画、(五)行事絵・四季絵、(六)古画研究・考証のテーマ別に広行の代表的な作品を展示し、やまと絵の新しい地平を切り拓いた広行の画業を明らかにします。

源氏物語須磨巻絵巻(部分)住吉広行筆 斎宮歴史博物館蔵[巻替あり]
栄花物語舞楽図 住吉広行筆 毛利博物館蔵
賢聖障子 蕭何・傅説・李勣図(傅説幅部分)住吉広行筆 個人蔵
四季絵屏風(左隻)住吉広行筆 宮内庁三の丸尚蔵館蔵[隻替あり]

第三章 広行からの流れ

 広行のあと住吉家は、六代広尚、七代弘貫、八代広賢と続き、広賢の代に明治維新をむかえます。第三章では、六代広尚、七代弘貫、八代広賢の作品をご紹介し、広行からの影響について注目します。

賢聖障子画巻(部分)住吉弘貫筆 個人蔵[巻替あり]

出陳品 37件

第一章 【広行までの流れ】
  伊勢物語絵巻 第四巻 住吉如慶筆 東京国立博物館蔵[巻替あり]
  徒然草画帖 住吉具慶筆 東京国立博物館蔵[頁替あり]
第二章 【広行の画業】
  明兆自画像模本 住吉広行筆 東福寺蔵
  源氏物語須磨巻絵巻 住吉広行筆 斎宮歴史博物館蔵[巻替あり]
  源氏物語胡蝶図屏風 住吉広行筆 個人蔵
  栄花物語舞楽図 住吉広行筆 毛利博物館蔵
  和歌三神図 住吉広行筆 個人蔵[前期展示]
  賢聖障子図 住吉広行筆 徳川美術館蔵
  賢聖障子屏風 住吉広行・板谷広当筆 東京国立博物館蔵[隻替あり]
  虎図 住吉広行筆 個人蔵
  四季絵屏風 住吉広行筆 宮内庁三の丸尚蔵館蔵[隻替あり]
  寺社宝物展閲目録 柴野栗山・住吉広行編 東京国立博物館蔵[後期展示]
第三章 【広行からの流れ】
  鷹狩図 住吉広尚筆 東京国立博物館蔵
  楠木正成図 住吉弘貫筆 個人蔵

など

出陳目録:PDF

会期中のイベント

講演会10月23日(日)
午後2時・講堂
「『本朝画事(倭錦)』から見る住吉派の動向」 和泉市久保惣記念美術館館長 河田昌之氏
日曜美術講座 11月6日(日)
午後2時・講堂
「拡大図で楽しむ住吉広行作品」 当館学芸部課長 宮崎もも
列品解説 毎週土曜日 午後2時から (当館学芸部による)
シンポジウム 10月30日(日)午後1時~午後4時30分・講堂

発表者:関西学院大学教授  下原美保氏
徳島市立徳島城博物館主任主査  小川裕久氏
当館 学芸部課長  宮崎もも

テーマ

「住吉広行とその流れ」

※事前申し込み制 

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※何れも参加は無料ですが、入館料が必要です。

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