大和文華館

秋の特別展

特別展 呉春―画を究め、芸に遊ぶ―

会期
2024年10月19日(土)~ 11月24日(日)
※展示替あり。 【前期】10月19日(土)~ 11月4日(月・振替休日)  【後期】11月6日(水)~ 11月24日(日)
休館日
毎週月曜日(ただし、11月4日〈振替休日〉は開館し、翌5日〈火〉が休館)
開館時間
午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
入館料

一般 950円 / 高校・大学生 730円 / 小学・中学生 無料

※「障がい者手帳」をお持ちの方とご同伴者1名2割引
※20名以上の団体は相当料金の2割引で引率者1名無料

共催:毎日新聞社  

 呉春ごしゅん(1752~1811)は江戸時代に活躍した絵師で、呉服里くれはのさと(現在の大阪府・池田)で春を迎えた際に呉春と名を改めました。他にも、気楽な場などで用いた月渓げっけいの名で知られています。 与謝蕪村よさぶそん(1716~83)のもとで絵画と俳諧を学んだ呉春は、写生を重視して江戸絵画を革新した円山応挙まるやまおうきょ(1733~95)と絵画の技について語り合ったともいいます。一世を風靡した呉春の画風は四条派として広がり、近代の京都画壇にも大きな影響を与えました。

 本展では寺院の襖絵などの大作を交えて呉春の画業を振り返り、理想を目指して洗練されていく画風の変化を見ていきます。また、絵画のみならず俳諧や謡曲といった芸事に通じていた様子もご覧いただきます。移りゆく画風や、様々な人との交流の背景には、呉春の軽やかな人間性があったように思われます。江戸絵画のひとつの頂点ともいえる洗練された技に加え、洒脱でいて親しみやすさもある呉春の魅力をぜひご堪能ください。

展覧会の構成

第一章 画業前半期の呉春

 呉春ははじめ、存白や孫石などの名前で絵を描いていました。この時期は、師である与謝蕪村や中国の絵画を中心に学びながら、中国に由来する画題を多く手がけました。また、蕪村に連れられて句会にも頻繁に参加しており、充実した日々を送っていたようです。しかし、天明元年(1781)の三月に妻、八月には父を亡くし、秋頃から大阪の池田に移住しました。
 池田に移住してからの作品では、線がやや太くなり勢いが出てきます。天明七年の「群山露頂図襖」(大乗寺蔵)は、まさに画業前半期の集大成であり、初期のような繊細さに加え、池田時代に培ったのびやかさも表れた充実した作品です。

重要文化財
群山露頂図襖(部分) 呉春筆 天明七年(1787)
大乗寺蔵

第二章 蕪村と呉春

 呉春が入門した与謝蕪村は、俳諧師としても知られる人物です。蕪村が臨終の際に、呉春を枕元に呼んで辞世の句を書き取らせたというエピソードは、蕪村と呉春との深い結びつきを感じさせます。ここでは、蕪村と深い関わりのある作品を中心に見ていきます。
 天明期の花鳥図における物言いたげな鳥の表情や奔放な筆づかいは、蕪村の影響をつよく感じさせる部分です。ただし、蕪村風といえる部分がある一方で、呉春ならではの特徴も確認できます。蕪村は呉春が芸術観を築くに当たって不可欠な存在でしたが、偉大な師にとらわれることなく絵画と向き合い続けていた様子がうかがえます。

重要文化財
柳鷺群禽図屏風(右隻・部分) 呉春筆
京都国立博物館蔵 ※前期展示

第三章 呉春、芸に遊ぶ―俳諧・謡曲・美食―

 呉春は絵画や俳諧にくわえて、謡も深く嗜んでおり、かなりの腕前だったといいます。池田でも句会や謡会、蹴鞠などに参加し、さらには美食の会も催していました。ここでは、呉春が人々と交流していた様子のわかる作品をご紹介します。
 また、俳書において多く挿絵を制作している点も見過ごせません。寛政六年(1798)頃までは呉春の句の掲載が確認でき、句会にも参加していたと推測されます。様々な人と交流するなかで、喜ばれるのはどのような絵画であるのかを感じとり、高位の人々から市井の人々まで大勢に愛される画風を作り上げていったのでしょう。

太施太子図 呉春筆・林喜右衛門五世玄好賛
林喜右衛門家蔵

第四章 呉春、画を究める―画風の転換―

 天明年間の京都では円山応挙の画風が人気を博していました。呉春は応挙に学ぶため、蕪村没後に応挙の門を叩いたものの、応挙は友人として接したといいます。応挙とともに、絵画について微に入り細に入り討究して、呉春は遂に新たな境地へと辿り着きました。
 また、応挙との交友は宮中や妙法院門跡といった高位の場まで呉春を導き、寛政年間(1789~1800)以降の活躍につながっていきました。寺院の障壁画制作も任されるようになり、勢いに乗っていた時期の作品をご覧いただきます。

重要文化財
白梅図屏風 呉春筆 逸翁美術館蔵

第五章 呉春、一家を成す―四条派の祖―

 画業後半期の作品における現実的な空間構成や、抑制の効いた筆づかいといった点は円山応挙が築き上げた表現の応用と見られます。しかし、呉春が目指したのは単なる応挙の模倣ではありませんでした。呉春の晩年の筆致は、あでやかで美しいさまを指す「姸麗」という言葉で評されます。この、落ち着きと潤いのある筆致こそが、呉春の打ち立てた画風の根幹であると思われます。呉春が最終的に辿り着いた温雅な画風は、景文(1779~1843)などの門人に受け継がれて四条派の画風として広がっていきます。
 またこの頃には、世間で好まれる画題をいくつも生み出しました。「三十六歌仙偃息図巻」や「蔬菜図巻」は写本も作られるなど、呉春や四条派を象徴する作品として求められた様子がうかがえます。呉春の世間的イメージや門人たちとの関係について探りながら、画壇の重鎮としての呉春の姿を見ていきます。

蔬菜図巻(部分) 呉春筆
泉屋博古館蔵

出陳品 47件

第一章 画業前半期の呉春
  騎馬狩猟図 呉春筆・江村北海賛 逸翁美術館蔵 (前期展示)
負局先生像 呉春筆・湖舟賛 個人蔵
展覧会初出陳 飲中八仙図屏風 呉春筆 個人蔵 (右隻は前期、左隻は後期の展示)
重要文化財 群山露頂図襖 呉春筆 大乗寺蔵
第二章 蕪村と呉春
  初午詣図 呉春筆 神戸市立博物館蔵
重要文化財 鳶・鴉図 与謝蕪村筆 北村美術館蔵 (鴉図は前期、鳶図は後期の展示)
重要文化財 柳鷺群禽図屏風 呉春筆 京都国立博物館蔵 (右隻は前期、左隻は後期の展示)
  角力図 与謝蕪村筆 野村美術館蔵 (後期展示)
第三章 呉春、芸に遊ぶ―俳諧・謡曲・美食―
展覧会初出陳 太施太子図 呉春筆・林喜右衛門五世玄好賛 林喜右衛門家蔵
謡会記録 呉春筆 柿衞文庫蔵
  一菜会記録 呉春筆 柿衞文庫蔵
『夢の猪名埜』 紫暁編・呉春ほか挿図 天理大学附属天理図書館蔵 (前期展示)
第四章 呉春、画を究める―画風の転換―
重要文化財 白梅図屏風 呉春筆 逸翁美術館蔵
重要文化財 雪梅図壁貼付 円山応挙筆 草堂寺蔵
重要文化財 四季耕作図襖 呉春筆 大乗寺蔵
京都市指定文化財 山水図襖 呉春筆 妙法院門跡蔵
第五章 呉春、一家を成す―四条派の祖―
蔬菜図巻 呉春筆 泉屋博古館蔵
山水人物図襖 呉春筆 東京国立博物館蔵 (後期展示)
展覧会初出陳 魚介図 呉春ほか筆・白川芝山賛 個人蔵
京都市指定文化財 泊船図襖 呉春筆 総本山醍醐寺蔵

など

出陳目録:PDF

会期中のイベント

特別公演 11月10日(日)
午後2時・講堂
「素謡「太施太子」~呉春も聴いた!?幻の謡曲がここに復活!!~ 観世流能楽師/林喜右衛門家十四世当主 林宗一郎氏

※事前申込制 

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講演会 10月20日(日)
午後2時・講堂
「呉春の表現の源流を求めて―蕪村、群禽、白梅図屛風―」 成城大学准教授 安永拓世氏
日曜美術講座 10月27日(日)
午後2時・講堂
「呉春と遊んだ人々―出陳作品から見る交友―」 当館学芸部  仁方越洪輝
講座 美術の窓 11月24日(日)
午後2時・講堂
連続講座「摺物 特注版画の魅力」
第3回「国貞・国芳・広重と歌川派の摺物」
当館館長 浅野秀剛
列品解説 毎週土曜日 午後2時から (当館学芸部による)

※何れも参加は無料ですが、入館料が必要です。

●無料招待デー: 10月31日(木)大和文華館開館記念日

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