大和文華館

コレクション

国宝

一字蓮台法華経〈普賢菩薩勧発品〉
(いちじれんだいほけきょう・ふげんぼさつかんぼつほん)

平安時代後期
紙本著色墨書・一巻
26.0cm×322.2cm

金銀の切箔や砂子を散らした美しい料紙に、『法華経』二十八品の最後の部分「普賢菩薩勧発品」を書写したものです。巻頭、見返しの部分には法会の様子を描いた大和絵が添えられます。
吹抜屋台の室内で営まれる法会には九人の人物が描かれます。画面中央、柱を背に座る僧侶は読経し、隣には、数珠を手にした貴人と市女笠を被った女性が並んで座ります。おそらく彼がこの法会の施主でしょう。
銀の罫線の間に記された経文は、一文字一文字が蓮台に載り、金輪が付されています。一字一字を仏に見立てているためであり、究極に洗練され抽象されたほとけの姿が表されていると言えます。
平安時代後期には、平家納経や久能寺経など華麗に装飾された経巻が数多く制作されたことが知られます。貴族たちの祈りと洗練された美意識が生み出した、まさに仏教美術の精華です。

書蹟