大和文華館

秋の特別展

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特別展 すみの天地 
―中国  安徽あんき地方の美術―

会期
2020年10月10日(土)~ 11月15日(日)
※会期中展示替あり。
【前期】10月10日(土)~10月25日(日)【後期】10月27日(火)~11月15日(日)   但し別日程の作品もあります。  
休館日
月曜日休館

開館時間
午前10時~午後5時(入館は午後4時まで)
入館料

一般 950円 高校・大学生 730円 小学・中学生 無料

※20名以上の団体は相当料金の2割引で引率者1名無料
※「障がい者手帳」をお持ちの方とご同伴者1名2割引

主催:大和文華館  共催:毎日新聞社

 中国の江南に位置する安徽あんき地方は、天下第一の奇山といわれる名勝・黄山こうざんを有する山紫水明の地として、また文房四宝ぶんぼうしほう(墨・筆・硯・紙)の名産地として古くから知られてきました。
 明末清初(16世紀末~18世紀初)には、江南の成熟した文人文化、徽州商人の活躍による文物の流入を受けて、独特な芸術様式がこの地で発展します。絵画においては、墨色を活かした枯淡な画風の安徽派あんきは新安派しんあんは)が成立します。また安徽の刻工による精緻な版画芸術は、広く東アジアで人気を博しました。
 本展は、主に15世紀~20世紀初頭の絵画と版画78件(うち重要文化財4件、重要美術品3件)を通して、安徽地方の美術の魅力をご紹介する、日本初の展覧会です。墨より生まれる清らかな山水世界、華麗な版画芸術などをお楽しみください。

黄山の雲海(安徽省黄山市)
黄山の雲海(安徽省黄山市)

展覧会の構成

第一章 安徽の美術をはぐくむ土壌

 古くから文人達に愛された安徽産の文房具(硯・墨)、15~17世紀の江南の文人画などを中心に、安徽の美術を育んだものを紹介します。

歙州きゅうじゅう 待潮硯たいちょうけん 明時代
澄懐堂美術館蔵[後期展示]
墨竹図(部分)詹景鳳せんけいほう筆 明時代
大和文華館蔵[前期展示]

第二章 透明なる山水

 清初(17世紀中期)に、安徽独自の絵画様式が成立をみせます。「玻璃はり山水」(ガラスのような山水)と呼ばれた、透明感のある静謐な山水画をご堪能ください。

江山無尽こうざんむじん図巻(部分)漸江ぜんこう筆 清時代
泉屋博古館蔵[前期展示]
山水図程邃ていすい筆 清時代
大和文華館蔵[後期展示]

第三章 徽派きは版画の精華

 明末清初の江南では、経済発展を受けて出版ブームがおこります。当時の書籍を彩った、安徽を始めとする地域で生まれた美麗な挿絵版画の数々をご覧いただきます。

重校北西廂記じゅうこうほくせいしょうき 明時代
国立公文書館蔵[後期展示]
芥子園画伝初集かいしえんがでんしょしゅう清時代 個人蔵

第四章 憧憬の黄山

 安徽の画家たちの創作の源であり、内外の文人墨客を魅了してきた名勝・黄山を描く作品を展示します。

重要文化財黄山八勝こうざんはっしょう図冊(第四図) 石濤せきとう筆 清時代
泉屋博古館蔵[前期展示、第四図:10/10~10/18]
山水図冊(第五図)方士庶ほうししょ筆 清時代
大和文華館蔵

出陳品 78件 (うち重要文化財4件、重要美術品3件)

第一章 安徽の美術をはぐくむ土壌 ―積み重なる「雅」と「俗」―
  金暈金星きんうんきんせい歙州石きゅうじゅうせき長方硯ちょうほうけん 清時代(17~19世紀) 東京国立博物館蔵 [前期展示]
  唐墨とうぼく 百駿ひゃくしゅん 程君房ていくんぼう 明時代(17世紀) 徳川美術館蔵
重要美術品 秋林隠居図 王紱おうふつ 明・建文3年(1401) 東京国立博物館蔵
重要美術品 九段錦くだんきん図冊 沈周筆 明時代(15世紀) 京都国立博物館蔵
重要文化財 四万山水しまんさんすい図(四幅対) 文伯仁ぶんぱくじん 明・嘉靖30年(1551) 東京国立博物館蔵
  墨竹図 詹景鳳せんけいほう 明・万暦19年(1591) 大和文華館蔵 [前期展示]
重要文化財 秋山行旅しゅうざんこうりょ図巻 蕭雲従しょううんじゅう 清・順治4年(1647)頃 東京国立博物館蔵
第二章 透明なる山水 ―安徽派様式の成立と発展―
  江山無尽こうざんむじん図巻 漸江ぜんこう 清・順治18年(1661) 泉屋博古館蔵 [前期展示]
  江山臥遊こうざんがゆう図巻 程正揆ていせいき 清・康熙元年(1662) 東京国立博物館蔵
重要美術品 山水図巻 査士標さしひょう 清時代(17世紀) 東京国立博物館蔵
  山水図 戴本孝たいほんこう 清・康煕15年(1676) 京都国立博物館蔵 [前期展示]
  臨漸江りんぜんこう山水さんすい 朱虚谷しゅきょこく 清・光緒14年(1888) 個人蔵
第三章 徽派きは版画の精華 ―出版文化の発展と絵画との関わり―
  程氏墨苑ていしぼくえん 程君房ていくんぼう 明・万暦34年(1606)刊 前田育徳会蔵 [後期展示]
  重校琵琶記じゅうこうびわき 高明こうめい 明・万暦26年(1598)刊 国立公文書館蔵 [前期展示]
  坐隠先生ざいんせんせい訂譜ていふ全集 汪廷訥おうていとつ 明・万暦37年(1609)刊 国立公文書館蔵 [後期展示]
  離騒図りそうず 蕭雲従しょううんじゅう原画 清・順治2年(1645)刊 清荒神清澄寺
鉄斎美術館蔵
[後期展示]
  芥子園画かいしえんが伝初集でんしょしゅう 清・康熙18年(1679)刊 個人蔵
第四章 憧憬の黄山 ―地元顕彰と旅行趣味―
  黄山図経こうざんずきょう 明・天順6年(1462)刊 国立公文書館蔵
  黄山図冊 石濤せきとう 清・康熙27年(1688) 京都国立博物館蔵
重要文化財 黄山八勝図冊 石濤せきとう 清(17世紀) 泉屋博古館蔵 [前期展示]
重要文化財 黄山図巻 石濤せきとう 清・康煕38年(1699) 泉屋博古館蔵 [前期展示]
  山水図冊 方士庶ほうししょ 清・雍正6年(1728) 大和文華館蔵
  黄山後海こうざんこうかい 黄賓虹こうひんこう 中華民国時代(20世紀) 個人蔵

など

出陳目録:PDF

会期中のイベント

日曜美術講座 10月25日(日)
午後2時・講堂
「中国 安徽地方の美術の魅力」 当館学芸員 都甲さやか
スライドによる
展覧会解説
毎週土曜日
午後2時・講堂
当館学芸部による

※何れも参加は無料ですが、入館料が必要です。

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