

季節感が希薄になったといわれる現代でも、すこしあらたまった手紙は時候の挨拶から始めるという作法は失われていません。 それは、四季の変化に富むこの国に住む私たちが、季節の表情をいとおしむ感性を共有していることのあかしでしょう。
絵の世界でも、平安時代に、春夏秋冬の自然景に、季節の行事や祭礼などをたくみに織りまぜた「四季絵」が生まれて以来、季節の表現は欠かせないものとなります。 しかし、みやびな四季絵はしだいに型にはまっていき、鎌倉時代には、有名な歌人・藤原定家ですら、「四季のモチーフには限りがあるんだから、三月や五月の花をほかのものに変えろなどといわれても困る。」と、新調する屏風絵の原案を依頼されて悩んでいます。

そうした四季絵も、江戸時代になると、あたらしい感性で刷新されます。 日常生活に根をおろした卑俗な季節感や、日々肌身に感じる気象の表現、そして古典回帰など、絵師たちの挑戦は尽きません。
平成最後の年の瀬。年号が改まろうとも、永劫に尽きることのない四季の巡りを味わうひとときをお楽しみください。
| 【春の花を愛でる】 | |||
| 国宝 | 寝覚物語絵巻 | 平安時代後期 | |
|---|---|---|---|
| 桜図 | 俵屋宗達筆 | 江戸時代前期 | |
| 春柳図 | 尾形乾山筆 | 江戸時代中期 | |
| 春林書屋図 | 呉春筆 | 江戸時代後期 | |
| 【ふたつの季節を味わう】 | |||
| 伊勢物語図屏風 | 江戸時代前期 | ||
| 春秋鷹狩茸狩図屏風 | 岡田為恭筆 | 江戸時代後期 | |
| 【夏の光のなかで】 | |||
| 草花図屏風 | 伊年印 | 江戸時代前期 | |
| 瓶花図 | 酒井抱一筆 | 江戸時代後期 | |
| 花鳥図 | 松村景文筆 | 江戸時代後期 | |
| 【四季をそろえて】 | |||
| 四季花鳥図押絵貼屏風 | 渡辺始興筆 | 江戸時代中期 | |
| 四季山水図屏風 | 円山応挙筆 | 江戸時代後期 | |
| 稲富流鉄砲伝書金銀泥下絵から銀杏木賊図ほか | 桃山時代 | ||
| 【秋から冬へ】 | |||
| 新古今集和歌色紙 | 本阿弥光悦筆 | 桃山時代 | |
| 重要文化財 | 武蔵野隅田川図乱箱 | 尾形乾山筆 | 江戸時代中期 |
| 僧正遍昭落馬図 | 英一蝶筆 | 江戸時代中期 | |
| 東山三絶図 | 円山応挙筆 | 江戸時代後期 | |
| 鱈図 | 円山応挙筆 | 江戸時代後期 | |
| など | |||
| 特別講演 | 12月9日(日) 14:00から 講堂にて |
「日本絵画の四季表現 ―日本人の『こころ』をめぐって」 | 冷泉家25代当主・ 京都美術工芸大学学長 冷泉為人氏 |
|---|---|---|---|
| 日曜美術講座 | 12月2日(日) 14:00から 講堂にて |
「江戸時代の四季絵屏風」 | 当館学芸部長 泉万里 |
| 講座 美術の窓 | 11月18日(日) 14:00から 講堂にて |
連続講座「浮世絵250年の歴史」第2回 「錦絵の時代―錦絵誕生から大判の時代へ」 |
当館館長 浅野秀剛 |
| 列品解説 | 毎週土曜日14:00から展示場にて(当館学芸部による) | ||