HOME > 展覧会 > 特別展 蘇州の見る夢―明・清時代の都市と絵画―

特別展 蘇州の見る夢―明・清時代の都市と絵画―

2015年10月10日(土)~11月15日(日)
前期:10月10日(土)~11月1日(日) 後期:11月3日(火)~11月15日(日)
月曜日休館(ただし、10月12日〈祝〉は開館し、翌13日〈火〉が休館)
入館料:一般930円、高校・大学生720円、小学・中学生無料

主催:大和文華館・日本経済新聞社 後援:NHK奈良放送局・株式会社大林組・奈良近鉄タクシー株式会社
助成:公益財団法人 花王 芸術・科学財団・公益財団法人 ポーラ美術振興財団

重要美術品 九段錦画冊 沈周筆 京都国立博物館蔵
重要文化財 清明上河図巻(部分)
趙浙筆 林原美術館蔵

中国の明・清時代の絵画史を考えるときには、都市という枠組が大切です。明代中期以降、市場経済の発展を受けて、江南地域の杭州・蘇州・南京・松江・揚州などでは、次々と個性ある都市文化が花開いていきました。中でも重要なのが、「呉」と呼ばれる古都・蘇州です。元時代には多くの知識人が往来し、文人文化が栄えましたが、元末に反明勢力の本拠地となったため、明初にはさまざまな弾圧を受けます、その後、王朝が安定するに従って往時の繁栄を取り戻し、経済的にも文化的にも中国を代表する都市となりました。

蘇州画壇の中心は在野の文人たちの社交サークルでした、明の中・後期にかけては、その間で蘇州好みの典雅な山水画や花卉図が制作されていきます。動乱の明末清初期には、西洋画風の伝播や奇古趣味の流行、近隣都市との文化競争の中で、蘇州の文人画風も変容を迫られます。ただ一方で、蘇州らしい甘美なイメージは、清後期に至るまで画家を魅了し、再生産され続けました。

重要文化財 清明上河図巻(部分) 趙浙筆 林原美術館蔵
重要美術品 九段錦画冊
沈周筆 京都国立博物館蔵

明代後期の蘇州では、都市の興隆に伴う絵画受容層の拡大も顕著に認められます。宋代宮廷画を模した、華やかな青緑山水や仕女図が広く人気を集め、大量生産されて店頭で売買されるようになります。清時代にはより大衆向けに、都市風俗を描いた版画も多く制作されます。

本展観では、蘇州という一都市の盛衰を切り口に、複雑で豊穣な展開を見せる、明・清時代の絵画史の様相を通観することを目指します。殷賑を極めた都市・蘇州の紡ぎ出した優美な絵画世界を鑑賞いただければ幸いです。

出陳品 約70件

朝陽舞鳳図 夏㫤筆 根津美術館
重要美術品 九段錦画冊 沈周筆 京都国立博物館
重要美術品 夢筠図巻 唐寅筆 東京国立博物館蔵
重要文化財 四万山水図 文伯仁筆 東京国立博物館蔵
重要文化財 山水図 謝時臣筆 相国寺蔵
重要文化財 秋景山水図 李士達筆 静嘉堂文庫美術館蔵
重要文化財 竹裡泉声図 李士達筆 東京国立博物館蔵

雲山平遠図巻 邵弥筆 大阪市立美術館蔵
重要文化財 金谷園桃李園図 仇英筆 知恩院蔵
重要文化財 清明上河図巻 趙浙筆 林原美術館蔵

燕園十六景図冊 銭杜筆 個人蔵
会期中のイベント
講演会 10月18日(日)
14:00から講堂にて
「地上の天堂の光と影―明清時代の蘇州―」 京都大学文学研究科教授
中砂明徳氏
日曜美術講座 10月11日(日)
14:00から講堂にて
「都市が育む絵画の歴史、蘇州の場合」 当館学芸員 植松瑞希
列品解説 毎週土曜日14:00から展示場にて (当館学芸部による)
※何れも参加は無料ですが、入館料が必要です。